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2019年 06月 06日 ( 1 )

「あちらにいる鬼」

花が咲き乱れる夏山シーズンを迎え、このところせっせと登っている。
だから中々本を読む時間が取れないけれど、それでも2週間に5冊くらいのペースでは読んでいると思う。

昨日読了したタイトルの本は、三角関係を扱ったある意味低俗とも言える私小説(?)だが、グイグイ惹き込まれた。
何しろ、作家井上光晴と妻の夫婦間に絡むのは瀬戸内寂聴だと言うからスケール(?)が違う。

本は、瀬戸内寂聴と妻の視線で、愛人とのこと、夫とのことなどが書かれている。
著者は井上光晴の娘で、寂聴とも交流があるという直木賞作家の井上荒野。
寂聴がまだ健在なのに、そんな関係者が書いても良いの?と一寸驚く。

普通の感覚なら、妻と愛人の関係は憎しみあうものだと思うのだが、この三角関係は世間の常識を遙かに超えている。
例えば、寂聴が出家して僧侶になったお寺に、寂聴の勧めで井上の死後、妻はお墓を建てたそうだ。
その墓地には愛人だった寂聴も一画を確保したとある。
そんな墓地の夫の墓に、一緒に入りたいと娘達に遺言した妻の気持ちは理解を超える。

更に、寂聴の家で使っていた井上との男女関係があったベッドを、寂聴の出家の際に井上がもらってきたという。
もらってくる井上もどうかと思うけれど、そのベッドで夜を共にする妻の心情も理解を超える。
もっと書けば、寂聴は井上の家に行って妻も一緒に飲食を共にしていると言うのだから、何とも不思議な三角関係だ。

この本を書くに当たって、井上荒野は寂聴の同意を得たばかりでなく、何度も訪ねて色々インタビューしている。

まあ、私は読んでいないけれど、寂聴自身、井上光晴との赤裸々な関係を本にしている訳だから、不倫相手の娘に過去を吐露することに何の拘りもなかったのかも。

ともあれ登場人物の人間性には、良い意味でも悪い意味でもたまげたものがある。

読了してから井上荒野のインタビュー記事を観た↓


タイトルの鬼とは誰を差すのか分かると思う。
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「舟を編む」を読み出したが、これも中々面白そうだ

by tarumae-yama | 2019-06-06 07:36 | 日々の出来事 | Trackback | Comments(0)