今年は本当に熊の目撃情報や、熊による死傷者が多い。
ドングリが全国的に凶作であることも多分に影響しているのかも。 そんな熊の話題が多い中、タイトルの本を読んだ。 1915年(大正5年)、北海道苫前の開拓地三毛別で起きた巨大な熊による人食い事件で、12月9日の日中、家に侵入し、子供が殺されこの家の夫人は熊に連れ去られた。 翌日通夜の最中にも熊が現れ、参列していた9名のうち4名が死亡、3名が負傷(二人は無傷)。 臨月の婦人の胎児が直後に、負傷者の一人が2年8ヶ月後、後遺症のために亡くなった。 結局死亡8名、負傷者2名という熊による襲撃事件としては史上最大の惨劇だった。 大討伐隊が組織され、加えて旭川から軍隊が30名も出動する騒ぎになったそうだが、結局マタギによって12月14日ついに射殺された。 熊は体長2.7m、体重340kgもある巨体だった。 著者は、林野庁の林務官で、古丹別営林署に異動後、事故から46年も経っていたけれど、遺族や討伐隊に加わった人たちがまだ生存していたことで、記録を残そうと関係者30数名から克明に聞き取ったそうだ。 この本の出版は1994年と事故から79年後のことだが、その前にTVドラマになったり、あの「北の国から」の脚本家倉本聰氏によるラジオドラマ「熊嵐」もあったから、三毛別の惨事は広く知られていると思う。 本は、通夜の出来事など身震いするほど衝撃的な内容だった。 10歳の子供が雑穀俵の影から、婦人や子供達が食い殺されるその室内で、骨をかみ砕く音を聞いていると言う描写は余りにも過酷。 誇張することもなく、聞き取ったことを淡々と記述しているけれど、それだけに巨大熊の異常さと、開拓民の恐怖がよく理解できたような気がする。 熊の習性についても触れており、機会があれば是非読んでいただきたい。 ![]()
by tarumae-yama
| 2025-10-11 07:32
| 日々の出来事
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